コラム
2025.08.01
価格の判断基準

建築費を1坪あたりで割った坪単価は、家が小さくなるほど高くなり、家が大きくなるほど安くなるのに対し、建築費の総額はそれに逆行して家が小さくなるほど安くなり、家が大きくなるほど高くなります。
坪単価は家が小さくなるほど高くなり、家が大きくなるほど安くなる理由は、坪単価が突出して高くなるキッチンやお風呂といった水回りスペース以外のスペースが、家が大きくなるほど多くなるからです。
とはいえ、単純に工事面積が増えればその分建築費が嵩んでしまうので、家が大きくなるほど建築費は高くなってしまうというわけです。
そんなわけで家の価格を少しでも抑えたいとお考えの方は、「坪単価」ではなく「総額」に
価格の判断基準を置くことをオススメさせていただいているのですが、この価格に関しては坪単価以外にもトラップが存在するので、正しく判断出来るようになるためには適切な知識が必要となります。
例えば、価格の中に「消費税」が入っているかいないか。
仮に2500万円の中に消費税が入っていないとなるとこの時点で予算が250万円狂ってしまいます。
例えば、価格の中に「本体工事」以外が入っているかいないか。
仮に2500万円の中に設計・確認申請費用・浄化槽費用・照明器具費用・カーテン費用・シャッター費用・屋外水道工事費用といった「付帯工事」が入っておらず、それらに200万円かかるとしたらその時点でこれまた予算が200万円狂ってしまいます。
例えば、使う建材や設備。
仮にその建築会社が標準として採用しているキッチンが50万円だとして、あなたがSNSから影響を受け絶対に採用したいと思っているキッチンが200万円もする高価なものだとしたらその時点でさらに予算が150万円狂ってしまいます。
あるいは、仮にその建築会社が標準として採用している仕上げがクロスだとして、あなたが採用したい仕上げ材が漆喰や珪藻土だとしたらその時点で予算が100万円狂ってしまいます。
あるいは、仮にその建築会社が標準として採用している外壁材がサイディングだとして
あなたが採用したい外壁材が塗り壁仕上げだとしたらその時点で予算が100万円狂ってしまいます。
ゆえ、興味がある建築会社に家の価格を尋ねる時は、自分がやりたいと思っていることをある程度お伝えしつつ、そこに消費税が入っているか、「本体工事」だけじゃなく「付帯工事」まで含まれているかをお聞きしていただければと思います。
✔️予算オーバーを防ぐ価格の聞き方
SNSを開けば無数に情報が溢れているし、生涯一度の買い物であることから妥協しにくい分、基本家の価格は上がる傾向にあると思います。
とはいえ、じゃあ安易に予算を上げていいのかと言うと決してそうではありません。
「予算」という要望は、資金計画から導き出した理想の暮らしを実現するために必要な要望であるとともに、気に入ったキッチンを入れたい…カッコいい家にしたい…あれもこれも欲しい…などと同列の要望であり、このバランスを崩してしまうと後からなんらかの皺寄せが暮らしの中に起こる可能性が高まってしまうからです。
ゆえ、建築会社で価格を尋ねる際には、まずは資金計画を行っていただきそこから算出された建築費の中で、自分がやりたいことをお伝えし、その上でどれくらいの大きさの家を建てることが出来るのかをお聞きするようにしてください。
この結果、理想の家と現実の予算との間のギャップに悩むことになるかもしれません。
ですが、このギャップに悩むことなく突き進んでしまうことほど恐ろしいことはないというのが個人的な意見です。
ゆえ、価格について適切な知識をつけていただき、無理ない予算で家を建てることが出来るようになっていただければと思います。