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2025.07.22

家づくりのコスト削減法(建築編4)

「収納は多いに越したことはない」

 現在住んでいるところが、収納が少なくそれを原因として家が片付かなかったり、はみ出た荷物によって部屋が圧迫されているとしたら、そうならないように新しい家には収納を出来るだけ多く作っておきたいとお考えになると思います。 

また、先に建てた友人からも「収納が足りないからもっと作っておいたらよかった・・」という言葉を聞くこともあるでしょうからなおのこと、家を建てる時は収納に過敏になってしまうと思います。 

しかし、収納とて作り過ぎは面積の増加につながり返済負担が増加貯蓄(積立投資)資金を食い潰す原因になりかねないし、作り方によってはコストが増えた反面分量はほとんど増えてなかったという事態も引き起こしかねないので、正しい図面の見方と作り方を知っていただく必要があります。

まず基本として知っておいていただきたいことが、収納は「管理のしやすさ」が大事であるということです。

例えば、一般的に収納の奥行きは91cmで作られることが多いのですが、ほとんどの持ち物がこの半分の奥行きでおさまることからこの収納は床面積のわずか半分しか有効活用出来ません。 

手前に物を置いてしまうと奥に置いてある物が取り出しにくくなるし、奥に置いてあるものを忘れてしまう可能性が高くなるからです。

要するに管理がしにくくなるというわけです。 

他方、これを教訓として奥行きを半分にし、逆に幅を2倍にすると床面積は全く変わらないまま(=コストを増やすことなく)収納の分量を2倍にすることが出来るし、手前に何かを置くこともないため非常に管理がしやすくなります。

かつ、2m40cmある天井高を有効活用して棚を設置すれば、さらに分量を増やすことが出来ます。

棚板が2枚だと80cmずつの高さになりますが、これだと壁に余白が生じるのに対し、棚板を5枚に増やせば40cmずつの高さになり、余白を生むことなく壁面を使い切ることが出来るからです。

わかりやすく数字に直してみると、奥行き91cm×91cmで棚板が2枚の収納だと2m73cm91cm×3段)の分量しかないのに対し、奥行きを半分、幅を2倍にしつつ、棚板の枚数を5枚にすると、先程の4倍となる10m92cm1m82cm×6段)もの分量になるという感じですね。 

以上のような事実から収納は「管理のしやすさ」を第一に考えていただきたいし、それを実現するためには、「床」の広さを追求するのではなく「壁」の広さを追求していただきたいと思っている次第です。

 

✔️「通り抜け動線」の欠点 

そして、収納を考える上でもう1つ覚えておいていただきたいことが「通り抜け動線」は分量を減らす原因になるということです。 

例えば、3帖という広さの収納には使える壁の長さが約5.2mあるのですが、この収納を通り抜け出来るようにすると、多くの場合、使える壁が半減してしまいます。 

通路となる壁には物が置けなくなるし、出入り口となるドア面にも物が置けなくなるからです。 

その上、ドアが1本増えた分コストが上がることになるし、スイッチも2箇所切りにするか、センサーライトにせざるを得なくなりさらにその分コストが上がることになります。 

要するに、通り抜け動線は利便性を手に入れることが出来る反面、コストを増やしつつ分量を半減させてしまうリスクがあるというわけです。 

ゆえ、通り抜け動線に関しては、本当にそこは分量を犠牲にしてまで通り抜け出来た方がいいのか?ということまで熟慮した上で決めていただければと思います。 

いかがだったでしょうか? 

たくさん作りたいとお考えになる収納とて闇雲に床面積を増やせばその分コストに直結することになるし、その上、作り方次第ではわざわざコストを増やしたのに分量は全く増えていないし、かえって使い勝手が悪くなってしまったなんて事態も引き起こしかねないことをご理解いただけたのではないでしょうか。

というわけなので、具体的に設計に入る前に収納の正しい見方と作り方をぜひ覚えておいていただけたらと思います。

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