コストを下げる打ち手も知る

家のコストを最も左右するのは家の面積ですが、
これは、みんなができるだけ広くつくりたいと思っている
リビングダイニングキッチン(LDK)とて
決して例外ではありません。

つまり、LDKも広くつくればつくるほど
それに連動して家の価格が高くなるということですね。

となると、
①家の価格が高くなるか
家の価格が高くなるのが嫌であれば、
②高くならないようにLDKを削る
③LDKを削るのが嫌なら別のところを削る
の3つのうちのどれかを
選択していただくことになるのですが、
あなたならどの選択をされるでしょうか?

では、具体的に数字を当てはめて
考えてみましょう。
個人的には、LDKの広さは
16帖がちょうどいいと思っているので、
独断と偏見でこの広さを基準として、
数字を当てはめてみます。

(対面式のキッチンに4~6人掛けのダイニングテーブル、
そして3人掛けのソファが収まるのがこの広さです)

①の選択の場合

例えば、あなたがLDKを
20帖でつくりたいとお考えだとしたら、
4帖家が大きくなるということになります。

となると、2坪家が大きくなるのですが、
そうなれば約120万円家の価格が高くなります。

なので、それでもLDKを大きくしたい
とお考えであるとしたら、
また、予算的にも全く問題ないのであれば、
そうした方が良いでしょう!!

②の選択の場合

他方、LDKは広くしたいけど、
それに逆行して予算は削らなければいけないとしたら、
LDK以外で削れるところがないか
考えてみていただきたいのですが、
それが難しいとしたら、
余分に広くつくろうとしている
LDKを削らざるを得なくなります。

つまり、20帖ではなく
16帖でつくるということです。

この場合、そうするかしないかを判断する基準は、
LDKに置こうと思っている家具のサイズが
16帖になったとしても問題ないかどうかです。

例えば、L型の大型ソファを
リビングに置きたいとお考えであれば、
もしかしたら、ダイニングとリビングの間に
全くゆとりがなくなってしまうかもしれないし、
ソファを置かないのであれば、
そうしていただいても全く問題はないでしょう。

なので、LDKの広さを決める基準として
どんな家具を置こうと思っているのかと
そのサイズ感を把握してもらっておくと
どうするかの判断がよりつきやすいかと思います。

③の選択の場合

LDKは広くつくりたい・・・
でも予算は上げたくない・・・
おそらくこうお考えの方が大多数ではないでしょうか。

ここで大半の時間を過ごす
と言っても過言ではないことから、
できるだけ開放感のあるLDKにしたいという方が多いと思います。

例えば、10帖にしようと思っていた寝室を6帖にすれば、
コストを増やすことななく
LDKを広くつくることができます。

あるいは、6帖にしようと思っていた
子ども部屋を4帖半にすれば、
そして子ども部屋が2部屋だとしたら、
わずかなコストアップでLDKを広くつくることができます。

あるいは、壁面を有効活用して収納をつくれば、
床面積を減らしながらも
よりたくさんのモノが片づけられる
収納にすることができるし、
そもそも平屋にすれば、
階段分面積を削ることができるし、
廊下をなくすことができれば、
部屋も収納も縮めずとも
面積を縮めることができます。

なので、どうしてもLDKを
小さくしたくないという方は、
これらをバランスよく採用することによって、
コスト調整していただければと思います。

最後に

LDKは16帖でちょうどいいと思っているので、
個人的におすすめなのは、
「LDKも小さくしながらそれ以外の所も削る」という
また別の選択肢です。

理由は、家にお金を掛け過ぎるよりも
もっと別のことにお金を掛けるべきだと
思っているからです。

例えば、この選択をすることによって
240万円コストが下がったとしましょう。

となると、ローンの利息も含めると
300万円お金が浮いたことになるのですが、
そうなれば家族で旅行に行く回数が増えるし、
旅行プランもより良いものにでき、
思い出づくりや子供たちに貴重な体験価値を
与えてあげることができます。

また、そのお金を老後のための
運用資金に回すことができれば、
これからの暮らしの不安を少しでも
和らげることができます。

もちろん、せっかく建てるので
妥協したくない気持ちがあるでしょうし、
SNSやインターネットの普及によって
かつてないほど広告にまみれた世界に生きているため、
その誘惑に負けてしまうのもある程度仕方ないと思います。

ですが、35年と言う長期間
負債を背負ってしまうのが家づくりでもあるため、
未来とも向き合ったうえで予算を考えるべきだと思います。

なので、これから家づくりをしようと思っている方も、
今まさに家づくりをしている方も、
コストが上がるコトばかりではなく、
コストを下げるための知識も、
同時に身につけていっていただければと思います。

合理的に考えるべき子供部屋

子ども部屋の広さは
6畳がスタンダードですが、
ここ最近は4帖半へ変わりつつあるようです。

実際、弊社も4帖半で
提案させていただくことが多いのですが、
2.6m×2.6mのこの空間に
置こうと思っているものが
シングルベッドと学習机だとしたら
これでも問題ありません。

また、子どもたちの多くは、
高校卒業とともに家を出て行くでしょうし、
となると、そのまま帰ってこないかもしれないので、
その点も考慮すると、
そこにかけるコストを最小限にしておくことは、
賢明な選択ではないでしょうか。

ということで、前回の寝室に引き続き、
今回は子ども部屋について
お伝えしていきたいと思います。

主な論点としては、
子ども部屋の広さではなく、
2階につくるべきなのか、
それとも1階につくるべきなのか、
ということです。

子どもが小さいうち

まず、子どもが未就学の時に
家を建てる方が多いと思いますが、
では、子ども部屋を2階につくった場合、
果たして子どもたちは
自分の部屋を使いやすいのでしょうか。

もちろん答えは「NO」ですよね。
子どもたちは、お母さんの姿が
見える場所でずっといますからね。

つまり、子どもたちは
ずっとリビングやダイニング付近で過ごすため、
そこに子どもたちの絵本やおもちゃなどを
集中して置くことになり、
いつもリビングダイニングが
散らかった状態になってしまいます。

全く使われてもなく散らかってもいない
2階の部屋とは裏腹に、です。

一方で、子ども部屋が1階にあると、
絵本やおもちゃを
子ども部屋に置いておきやすくなるし、
常に母親の姿が見え、気配が感じられれば、
自分の部屋でも安心して過ごすことが出来ます。

結果、リビングやダイニングを
比較的片付いた状態のまま保ちやすくなります。

子どもたちは、片づけてもすぐに散らかすでしょうから、
それが自分の部屋であるなら、
少々散らかっていても全く気にならないし、
来客時もそのドアさえ締めておけば、
片付けにあたふたすることもありません。

子どもが思春期に入ってから

多くの方が、
主に思春期のことを想定して
子ども部屋をつくろうとします。

十分なプライバシーを担保するために、
親が居るリビングやキッチンとは
階層を隔てた2階にすべきだと。

もちろん思春期のこどもたちにとって、
これは嬉しいことかもしれませんが、
この時期に重視すると、
2階に子ども部屋をつくってしまう可能性が
高くなります。

結果、先程お伝えした通り、
子どもが思春期に入るまでの間、
リビングやダイニングが散らかりやすく、
10年余りもの長期間片付けや掃除に悩みながら
過ごし続けることになります。

なので、子どもの思春期の時を
重視したいという方は、
必要な時、子どものプライバシーが確保してあげられるように
1階に子ども部屋をつくることを
おすすめしています。

子供が出て行った後

悲しい現実かもしれませんが、
進学や就職、結婚を機に
やがて子どもたちは家を出て行きます。

となると、子どもたちの部屋は空き部屋となるのですが、
家を建てるときは、
そうなることを想定した上で、
間取りを考えておくべきです。

そして考えると、子ども部屋は
2階にあるより1階にある方が、
使い勝手がいいような気がしませんか?

自分たちの部屋として使うにせよ、
収納部屋として使うにせよ、
客間として使うにせよ、です。

また、もっと長い目で考えると、
歳をとり足腰が悪くなったとしても、
1階だけで過ごせるようにしておけば、
生活に困ることもなければ、
1階に部屋や収納が足りないことによる
増築工事をする必要もなくなります。

いかがですか?

子ども部屋に関しては、
ずっとその用途で使い続ける空間ではないため、
この部屋をライフスタイルに応じて活用できれば、
より使いやすく、利便性に富み、
暮らしやすい住まいをつくることができます。

なので、この子供部屋に関してもまた
固定概念に縛られず、
柔軟に考えてみてもらえたらと思います。


寝室の適切な広さ

住宅展示場に行くと、リビングはもちろん、
寝室もかなりゆったりとつくられているし、
普通に建てられているおうちでも、
寝室は子ども部屋よりも広めにつくられるのが一般的です。

なので、家を建てえるにあたって
いくつか家を見て回っているうちに、
「どの家も、寝室は広めに設計されている」
  ↓
「寝室は広めなのが普通なのかな」
「寝室は広めがいいんだな」
  ↓
「我が家も寝室は広めにしておこう」

となり、自然とゆったりとした寝室を
つくることになります。

しかし、家の床面積が増えれば
家のコストも高くなってしまうので、
できれば大きくする必要がない場所は、
最小限のサイズでつくるべきではないでしょうか。

例えば、寝室で多いのが10帖という広さですが、
そもそもこの広さがいったいどれくらいなのか
ご存知でしょうか?

感覚的にどれくらいとかではなく、
縦横それぞれ何㎝ずつあるのか
知っているかどうかということです。

10帖という広さは、
長手方向の有効寸法が4m42㎝で、
短手方向の有効寸法が3m51㎝なのですが、
これを知ったうえで考えていただきたいことが、
この部屋には一体何を置く予定なのかということです。

シングルベッドを2台並べるのか?
それともクイーンサイズのベッドが1台なのか?
それともダブルベッドを2台並べるのか?
それともベッドは置かず布団を敷いて寝るのか?

そして、もしベッドを置くとしたら、
それぞれのベッドのサイズを知っておくことも重要です。

一般的なサイズとしては、
シングルベッド=幅90㎝
セミダブルベッド=幅120cm、
ダブルベッド=幅140cm、
クイーンベッド=幅180cm、
といったところでしょうか。
(長さは全て2mくらいです)


では、これを踏まえたうえで、
あなたはどのベッドを何台置く予定でしょうか?

ここで、仮にダブルベッドを
2台並べて置くとして考えてみると、
ベッドが占有するスペースは
140cm×2台=2m80cmとなり、
どちらも長さは2mなので、
4m42cmー2m80cm=1m62cm、
3m51cmー2m=1m51cmとなり、
かなりの余白が部屋にできることになります。

では、寝室に隣接して
広々したウォークインクローゼットを
つくっていると仮定して考え、
そこに衣類も布団も雑貨も全て片付けられるとしたら、
あなたはベッド以外寝室に置くものはあるでしょうか?

タンス?
おそらく持ち込まない人が多いだろうし、
持ち込んだとしても、
ウォークインクローゼットの中に
納めるよう設計しますよね?

ドレッサー?
おそらく化粧も洗面かリビングでするので、
これもいらないですよね?
だとしたら、リビングや洗面に
それらを片づける場所を確保しておくことが大事ですよね?

テレビ?
スマホを持つのが当たり前の今、
テレビも寝室には必要ないですよね?
そして、仮に必要だとしても
壁掛けにすれば全く場所を取らないですよね?

そんなこんなで、
寝室は10帖も必要なく、
もっと削ることができるというわけですね。

たとえダブルベッドを2台並べて置くとしても、です。
この部屋は、文字通り寝るだけの部屋なので、
寝ている時間以外ここで過ごすことは
ほとんどないかと思います。

仮に、6帖にすることができれば、
4帖(=2坪)家を小さくすることができるため、
平屋なら約120万円。2階建てなら約100万円、
これだけで建築コストをカットすることができます。

もちろん、資金的にゆとりがあり、
どうしても寝室は広い方がいいとお考えなら、
そうする必要もありません。

でも、この浮いたお金分予算が削れるとしたら、
これを家以外の何かに使うことができるし、
あるいは、この浮いたお金を
グレードアップや本当はやりたかったこと
(漆喰壁や塗り外壁、ステンレスキッチンなど)
に使うことができます。

なので、たとえ他のみんなが、
当たり前のように広々と寝室をつくっていたとしても、
あなたにとってそれは必要ないと思ったら、
そんなの気にせず必要な広さでつくってもらえたらと思います。

今回は、寝室に集中してお伝えさせていただきました。
ぜひ参考にしてみてください!

光の種類と間取りの可能性

前回、土地に合わせて家を建て、
無駄な余白をつくらないことが、
外構工事の予算を大幅に狂わせないために必要だと
お伝えさせていただきましたが、
とはいえ、これを実行するのは、実はそう簡単なことではありません。

なぜなら、できるだけ敷地いっぱいに
家を建てようと思えば、
土地の日当たりの良し悪しに関係なく
建物を配置せざるをえないからです。

つまり、日当たりが悪い場所にも
部屋をつくってもいいですよとならなければ、
この実現は難しいということですね。

例えば、すぐ南に家が建っている土地に家を建てる場合、
真夏以外はその敷地には日陰ができることになります。

なので、一般的には日陰となる部分を避け、
直射日光が入る位置に家を配置します。
そして、できるだけ全ての部屋を南向きでつくります。

結果、必然的に2階建ての家が完成します。
かつ、敷地に余白がたくさんできることになります。

しかし、ここで立ち止まって考えてもらいたいことが、
「すべての部屋の日当たりを
本当に良くする必要があるのか?!」

ということです。

まずは「寝室」です。
なぜなら、寝室は文字通り寝るだけの部屋なので、
太陽が昇っている時間に使うことがないからです。

つまり、それなりに明るくはしたいものの、
そのためにわざわざ直射日光が入り続ける
南に位置させる必要はないのでは?ということですね。

また、「子供部屋」に関しても、
同じことが言えるのではないでしょうか?

子どもたちは、平日の昼間は学校に行っているし、
休日も自分の部屋ではなく、
広々としたリビングで家族と共に過ごすでしょう。

そして、やがて受験を迎え、
部屋で過ごすことが多くなったとしても、
直射日光が日中ずっと差し込む部屋では
かえって勉強に集中しにくいのではないでしょうか?

光は直射日光だけではない?

家づくりをするときに知っておくべきことが、
光=直射日光だけではないということです。

例えば、北の窓からは
1日を通してずっと直射日光が入ってきませんをが、
かといって北窓は暗いわけでもなければ、
むしろ日中ずっと安定した光を室内に採り込んでくれます。

また、家の中の壁を白くする理由は、
室内に入ってきた光を反射させ
家全体に拡散するためです。

この2つのことから言えることは、
光は何かに反射して拡散していくということなのですが、
この反射光をうまく使えば、
家全体に満遍なく光を届けることができます。

とはいえ、
カーテンで光を遮ってしまうと、
光が入ってくることもなければ、
光が拡散していくこともないので、
そもそも論として、
いかにカーテンがいらない窓をつくることが出来るかが
鍵になってきます。

しかし、光にはこの2種類がると
建てる前に理解しておけば、
どの部屋にどちらの光が必要なのかがわかるため、
部屋の配置に柔軟性を持たせることができます。

また、日陰にも部屋を配置することができるため、
わざわざ直射日光のために、
部屋を2階につくる必要もなくなり、
敷地をより有効活用できるようになります。

そして、外構工事のコストを落とすことができます。
同時に、1階が大きくなれば、
家の使い勝手もいいでしょうし、
将来的にもその方がいいかもしれません。

ということで、家を建てる前に
「光は直射日光だけではないよ」ということを、
ぜひ知っておいてくださいね!