家と土地と固定概念と

家はたとえ同じ面積でも
形によって価格が異なります。
また、縦横のバランスによっても価格が異なります。

例えば、工事面積が120㎡の平屋を建てる場合でも、
縦12m×横10mの家と
縦15m×横8mの家と
縦20m×横6mの家とでは、
壁の施工面積が異なることから、
建築コストも違ってきます。

縦12mの場合、外周の長さは44mですが、
縦が15mになると外周の長さは46mになり、
縦が20mになると外周の長さは52mになるからです。


つまり、縦横の比率が崩れるほど
家のコストは高くなります。

なので、建築コストを抑えるためには、
縦横の比率を限りなく同じにできる土地を選べばいいのですが、
仮にあなたが建てたい家が、
12m×10mの平屋だとしたら、どんな土地を選べば良いのでしょうか?

必要な土地の広さの求め方

この場合、間口が10mの家を建てるとしたら、
駐車場に奥行き約5.5m
それ以外の建物の周囲に
それぞれ通路として1m確保したとして、
間口12m(通路1m+家10m+通路1m)
奥行き18.5m(通路1m+家12m+車5.5m)
必要となります。

つまり、12m×18.5m=222㎡(約67坪)の土地が
必要ということですね。

また、建物の間口を12mにした場合、
土地の間口が14mで奥行きが16.5mとなり、
231㎡(約70坪)の土地が必要ということになります。

なので、あなたが120㎡の平屋を
建てたいとお考えでしたら、
60~70坪くらいの広さで土地を探せば、
問題なく建てられるということになります。

土地の向きはどの方向が良いのか?

では、土地の向きはどの方向が良いのでしょうか?
南向き?あるいはそれ以外でもよいのか?というお話です。

先程、土地の面積を試算したときに、
車を置くところ以外の方向は全て
ほとんど敷地いっぱいに配置しました。

そうなると、車を置く方向が南であれば、
問題なく家の中に光を採り込めそうですが、
それ以外の方向の場合、
隣接して家が建っているとしたら、
家が暗くなってしまいそうな気がしませんか?

なので、みんな安定した日当たりを求めて
南向きの土地を選ぼうとします。

ですが、南向きの土地で
南面に採光のための大きな窓をつけてしまったら、
一体どうなるでしょうか?


家の中が丸見えになってしまうので、
確実にカーテンが開けられない家になってしいます。
結果、家の中は場所によって明るさにムラができるし、
南向きであるにもかかわらず、
朝から照明なしでは過ごせなくなってしまいます。

でも、南以外の方向を選んだ場合、
そもそも南の窓から光を採り込めなさそうなので、
そうなるよりはマシだと感じる方も少なくないと思います。

採光のカギは南の建物との距離

南向きの土地以外で
先程お伝えした平屋を建てる場合、
リビングを南に配置してしまうと、
確実に家の中に光が入ってこなくなります。

なので、この考え方で平屋を建てる場合、
リビングにたっぷりと光を入れるためには、
近隣の建物から十分離れたところに
中庭を設けながらリビングを配置するという手段を取ります。


この手段を取ることができれば、
土地の日当たりにこだわる必要がなくなり、
土地選びの自由度が格段に増します。

また、土地価格を抑えることができます。
日当たりが悪そうな土地は
そもそも価格が安めに設定されているし、
価格交渉もしやすくなるからです。

なので、こういった家の建て方があることも
ぜひ知っておいてもらえたらと思います。
これが、土地と建物と外構にかかるコストを
最大限に抑えながら
平屋を建てる最良の手段ではないでしょうか。

通り抜け動線の利点と難点

家づくりをするほとんどの方が、
玄関脇に大なり小なりの
土間収納(シューズクローゼット)をつくりますが、
そうするとやりたくなるのが、
土間収納から玄関ホールへと
通り抜ける動線づくりです。

家族が靴を脱ぎ履きする場所を
玄関と別にすることによって、
玄関をいつもスッキリさせておくためです。

しかし、一見便利そうに感じるこのアイデアも、
実は2つのイライラをつくりだす
原因になってしまうかもしれません。

まず1つ目が、
「靴を脱ぎ履きする場所が狭すぎて
朝の混雑時にイライラする問題」です。

せっかく家を建てたのに、
結局アパートで暮らしていた時と
状況が変わらないということですね。

土間収納には棚がある分、
どうしてもホールに上がる幅が
狭くなってしまいます。

ましてや、
この土間収納に冬のアウターを吊っているとしたら、
その袖のかさばりで、家族玄関が圧迫され、
狭く感じるのではないでしょうか。

また、子どもたちが中学生になれば、
雨の日はカッパを着て
自転車で学校に行くと思いますが、
そんな狭いスペースで
カッパを着たり脱いだりするのは、
子どもたちにとってもストレスになるかもしれません。

そして、2つ目が
「思ったより荷物が置けない」ということです。

というのも、
通り抜けしなければいけないということは、
そこに全く荷物が置けないからです。

つまり、通路を確保しなければいけない分、
必然的に収納量が減ってしまいます。

やがて家族の成長とともに
荷物はどんどん増えていくのですが、
そうなると、その棚だけでは
荷物が収納しきれなくなり、
いつの間にか来客用玄関で
靴の脱ぎ履きをするようになり、
家族用玄関は物置と化し、
通り抜けできなくなるということです。

通り抜け動線にする場合、壁がなくなり通路ができることによって、
収納が減ってしまいます。

収納量が変わらないのであれば、
通り抜けをやめて収納スペースを減らした方が
床面積が小さくなり、
その分家のコストが安くなるので、
その方がいいのではないかと思います。

もちろん、これは1つの意見であり、
これが絶対に正しいわけではありません。

通り抜け動線は動線が短くなるというメリットがある反面、
収納が減ってしまうというデメリットがあります。

なので、ご自身の荷物量と
実際の暮らしを想像してみて
考えていただければと思います。

「通り抜け動線の利点と難点」続きを読む

置き家具のすすめ

個人的には収納の中は壁面を最大に活用して、
できるだけ棚を設置すべきだと思っているのですが、
一方でリビングやダイニングキッチンには、
備え付けのテーブルなどを
できるだけ設置してほしくないと思っています。

理由は3つ。
1つは棚やカウンターをつくることで、
空間に凹凸ができてしまい、
妙にごちゃごちゃした家になってしまうことです。

2つ目は、備え付けのものより
デザインが洗練されてる家具の方が
圧倒的にオシャレなことです。

そして、最後の3つ目が、
固定してしまうと気分転換に模様替えもできないし、
インテリアを変えることによる
空間のイメチェンもできないということです。

なので、個人的には
キッチン前にをつくる食卓代わりのカウンターや、
ダイニング近辺につくるスタディカウンターや、
リビングにつくる固定のテレビボードなどを
基本的には推奨していません。

固定してしまうと間違いなく
後から困ったことになってしまいます。
いらなくなったからと簡単に壊せるものでもなければ、
どうしても邪魔だからと壊すことになった場合、
それなりにコスト手間がかかるわけですからね。

お気に入りを買うことのすすめ

テレビがブラウン管から薄型になったように、
またパソコンがデスクトップからノートになり、
あるいはタブレットやスマホで代替されているように、
製品は刻一刻と進化していってるがゆえ、
いっときの流行に合わせてつくった固定の棚は、
時の経過とともに使う必要がなくなり、
ただの物置へと化してしまいます。

利用用途がなくなった後も、
ずっと存在し続けている以上、
物置として使うしかない、からです。

また、ダイニングやリビングなどにつくった棚は、
パッと物が置けてしまうので、
わざわざ収納の中に片付けに行くよりも便利ですよね。

その点、置き家具なら、
いらなくなれば移動させればいいし、
インテリアを変えることもできます。

確かに、気に入ったデザインのものを買おうと思うと、
値段が高く一瞬怯んでしまうかもしれません。
ですが、個人的にはその費用を惜しまず
自分たちが納得のいく気に入ったデザインのものを
買ってもらいたいと思っています。

理由は簡単です。
気に入ったもの、そして少しばかり値段が高いものは、
ずっと愛着を持って大事に扱いたいと思う可能性が高いからです。

なので、家を建てるときには
✓固定のカウンターは極力つけないこと
✓気に入った家具が買えるように、
家具の予算を十分にとっておくこと

この2つに気を付けていただければと思います。

収納の活かし方と殺し方

平成30年の間で、
実は物価が10%ほど上がり
私たちが給料から天引きされている
社会保険などの費用も、
世帯平均で年間40万円ほど負担が上がったと言われています。

そして、平成30年間で
変わったことのもう1つが、
いろんなものが薄型になったことではないでしょうか。

その代表的なものがテレビであり、
パソコンや掃除機なども
どんどん場所をとらなくなっていますよね。

また、現在の家は昔と違って
収納をつくるのが当たり前なので、
タンスやドレッサーなども買う必要もなくなってきましたよね。

つまり、以前に比べて
プロダクトが薄型になったこと、
そして、収納を十分につくるのが
当たり前になったことから、
現在の家は、部屋自体を
以前のように大きくつくる必要性がなくなったのですが、
それにプラスして、
収納のつくり方もよく考えるべきではないでしょうか。

リビングには何がありますか?

いわゆる【押入れ】と呼ばれている
奥行きが深い収納は、
賃貸住宅では超ド定番の収納ですが、
この収納を使いにくいと感じたことはありませんか?

収納ボックスを置くに詰めて置けば、
手前の余ったスペースに
何かしら置いてしまうし、
そうなれば、奥のボックスの中に
何を入れてあるのか忘れてしまったり・・・


さらに、なぜか収納は

棚2枚がスタンダードなのですが、
実はこれもかなりもったいない収納のつくり方なんです!

空間に余白が生まれてしまうからです。
収納ボックスの上が空いているからって
そこに何かを置いたりしませんよね。

なので、収納をつくるときは
そのポテンシャルを最大に活かすように
奥行きや棚を考えるべきなんです。

細々としたものが多い
リビングダイニングやキッチンなどは
そうすべきだと思います。

ということで、
細々としたものが多い
リビングダイニングやキッチンの周りには、
奥行きが浅い収納が必要だ
ということを頭にいれながら、
間取りを考えていただければと思います。

そして、より収納を有効活用するためにも、
棚板の数をケチらないようにしてください。
棚板にはそれなりの費用がかかりますが、
ケチらず十分に棚をつくることができれば、
無駄に面積を増やさずとも
十分な収納を確保することができます。

電気代は生涯ローンという認識

脱炭素の流れが加速することによって、
今後、確実に電気料金は上がっていくと
言われています。

二酸化炭素の排出を下げるためには、
火力発電の比率を減らし、
再生可能エネルギーの比率を
増やさないといけないのですが、
そうなれば電気の製造コストが高くなってしまうからです。

そして、その上昇率たるや
毎年3%くらいだと言われているのですが、
この数字で計算してみると
何と24年後には電気料金が2倍になるという
恐ろしい結果が導き出されます。

私たちは、その煽りをもろに受けないためにも、
家を建てるときに、その防御策を企てておかないといけないのですが、
では 具体的にはどのようにすればいいのでしょうか?

断熱機能に優れた家にする

まず、やるべきことはコレです。
断熱を強化することで、
外気の影響を受けにくくし、
中の熱を逃がしにくくするということです。

とはいえ、これに関しては、
国も明確な指針を出しており、
今やどの住宅会社でも多少の差異はあるものの、
必須で取り組んでいることなので、
これに関してはサラッと流して
次のことをお伝えしていきますね。

家をコンパクトにする


断熱機能に優れた家にした上で、
同時にやるべきことがこれです。
つまり、いらない場所を削ることで面積を最小化し、
結果、体積を最小化するということです。

体積が小さくなれば、
その分さらに冷暖房効果が高くなり、
結果、部屋ごとにできる温度差を
最小化しやすくなるからです。

中でも高断熱化された家に
もっとも不必要な場所が
【廊下】ではないでしょうか。
廊下があるとそこが断熱層となり、
空気の循環を止めてしまうからです。

この他、部屋数や部屋の広さなども
よく考えてつくることが大切です。
自分たちがそうしたように、
子どもたちもやがて家を出て行くわけですからね。

ということで、
そんな合理的なことを考えつつ
頑張って面積を削っていただくと、
さらに無駄な電気料金を防ぎやすいのではないか
と思っています。

太陽光発電をつける

そして、高騰する電気料金を防御する
3つ目の対策がこれです、
理由は、先程の2つの対策は、
あくまで冷暖房コストを抑えることしかできないため、
それだけでは不十分だからです。

実は、冷暖房が全電気の中で占める割合は、
わずか約28%しかないというデータが
国から発表されています。

冷暖房を1年中ずっと
使っているわけではないので、
当たり前と言えば当たり前なんですけどね。

では、電気代は
何にかかっているのかというと、
冷暖房と同じくらいの比率で
かかっているのが【給湯器】で、
冷暖房や給湯器以上にかかっているのが、
【家電製品】です。
【給湯器】も【家電製品】も1年中使っています。

なので、電気料金を抑えるためには、
これらの電気を買わないように
しなければいけないということです。

そして、それらができる唯一の手段が
太陽光パネルを設置するということですね。

また、エコキュートの炊き出しも深夜にするのではなく
昼間にするといった感じです。

ちなみに、蓄電池を一緒に買えば、
夜の電気も買わなくてよくなるのですが、
蓄電池に関しては
出立ちの太陽光パネルまだまだお高いので、
もっと値段がこなれてくるまでは、
といったところでしょうか。

結論

これが個人的に考えている
電気料金という、死ぬまでかかり続ける
厄介なランニングコストを
最小限に抑えるための工夫です。

もちろん、もしかしたら
電気料金が上がっていくどころか
下がっていくかもしれないし、
思った以上に上がらないかもしれません。

つまり、絶対にこうなる!と言い切れるわけではありません。

また、太陽光パネルに関しては、
否定的な意見があるのも事実で、
もしかしたらそっちの方が
正しいのかもしれません。

なので、あくまであなた自身で
社会ニュースや経済ニュースを見た上で、
この提案を受け入れるかどうかを
ご判断いただければと思います。